今後の日本では人口や世帯数が著しく減少する一方で、空き家等の住宅ストック数は著しく増加傾向にあります。
そのため戦後の日本住宅政策を支えてきた「スクラップ&ビルド」方式を見直す必要に迫られ、「住生活基本法」が2006年閣議決定されました。
それまでの日本経済の復興に伴う住宅を多く作る「量」から、住宅の中で営まれる生活を重視した「豊かな住生活」を実現するための「質」へと転換されたことになります。

住生活の基本は「隔離」「接客」「家財管理」そして「炊事」です。
そしてその基本をもとに生まれた定義に「住育」があります。
「住育」とは、種々の経験から「住」に関するあらゆる知識と「住」を選択したり見抜く力を習得し、健全で安心な住生活を実践することが出来る人間を育てることです。
それは言い方を変えれば“住まいが人を育てる”ともいえるでしょう。

人が代々生き、受け継がれ残るものに「文化」があります。
「衣」「食」「住」の各文化の中で、およそ人と共に生き抜くのは「住」の住まいです。
人生を刻んだ証しを残すとすれば、一生寄り添うことになる「住まい」ということになります。
受け継がれていく住まいは、住む人の「意思」の現れであり、「住文化」の一端を担っているともいえるでしょう。
住文化の一端を担った住まいは、そこに住まう人たちを育てているのです。

どんな力が人を育てるのかは次回の機会に話したいと思います。