豊かな住生活への第一歩は“考え”“想い”“祈る”ことでした。
幸せになるために行動を起こすことは、それほど難しいものではないかもしれません。
問題は第二歩目です。誰に依頼するかです。
熱き想いをしっかりと受け止めてもらえるか? その想いに応えてくれる人を探さなければなりません。


平成に入ってから住宅構築システムは大きく変わってきました。
昭和時代の良き相談相手だった大工が姿を消して、代わりに台頭してきたのが住宅会社です。
機能的プランや物理的性能は著しく向上してきたものの、一方で失いつつあるのが人それぞれの個性と住意識です。
文化と個性は相乗関係ですが、住宅のパターン化や規格化とは反比例で相容れません。

建築主と住宅会社の二元的利害関係だけでは大きな情報格差を埋める手段がなく、
住宅会社は維持のために、建築主の意思を尊重し良き住まいの相談相手とは成り難い存在です。

小学校の先生の家庭訪問に生徒が目を輝かせて“変った家だからすぐに分かるよ!”と言っていたのが、“似たような家が多いから迷わないでね!”と困惑気味な表情になるのが平成の住宅事情です。

時の流れは時代と共に世の中のあらゆる事情を、さりげなくしなやかに変えてきました。
平成は今年で終わりこれからの新しい時代の諸事情はまた変わりつつあります。

人の熱き想いをしっかりと受け止め、
失われつつある人の個性と造る職人の意識をどのようにして高めていくか?
それは住宅会社の一方的に増大する維持経費に束縛されない、
建築主の立場に100%立った公正中立な、事情に詳しい専門のコーディネーター
の登場を待つことになります。

豊かな住生活の実現は、願う人の祈りとそれに応える職人の意識で形づくられていきます。
これからの住まいは、次世代の多様な暮らしや社会に応えられる様々な選択肢があることが望ましいのではないでしょうか。